老後から楽しむ着物

老後

私が着物を着るようになったのは子供たちが独立てくれた50歳くらいになってからです。子供の頃は着物が好きで、お正月などよく着ていましたし、当時は周囲に普段着で着物を着ているお母さんたちもたくさんいました。中学高校大学OL時代、そして結婚後も子育て他で忙しく着物どころではありませんでした。やっと一息ついたのが50歳くらいということです。しかし金銭的に余裕があるわけではないので、幸いの古着ブームなどに乗って、安い着物を自分なりに楽しんでおります。

 

しかし着物は知れば知るほど奥が深く、またいろいろな決まり事もあり複雑で、私の場合はただお友達とお話ししたりするときに着物を着て出かけていくくらいですが、それでも街ですれ違っているであろう着物通の方の眼が怖くて、緊張してしまいます。若い子はどんな着方をしても『若い』というだけで美しく許されますが、私の年齢になると『そんなルールも知らないのか』という目で見られているのかもしれないと委縮してしまうのです。呉服屋さんに「その歳でその色は合わない」と言われ、古着で最初から自分に合ったオーダーメイドでない以上仕方がないのですが、やっぱり気にしてしまいます。

 

そんな時幸田文の着物に関するエッセイを読みました。ある歳行った未亡人が訪ねてくる時いつも真っ赤な羽織を着ていて、それを女中が陰でバカにしていました。その彼女はついに切れて女中相手に啖呵を切るのですが、後で説明します。年相応の色のものを着ると顔色が悪く見えて暗く見える。赤色だと華やいで気分もしゃきっとしていいのだ、とか何とか。それを読んだ時、「そうだよな」と思いました。まさか振袖着るというわけではないのですし、自分の好きな色、自分の好きな柄、それでいいではないか、と。「この人は着物を楽しんで着ているのだな」と分かってもらえればそれでいいではないか、と。

 

昔の人は、それこそ普段着であったわけですし、もっと自由で大胆に着ていたと思います。皆が貧しかったわけで、その中で各人ができる範囲でのお洒落を楽しんでいたわけです。着物=晴れ着になってしまったからこんなに堅苦しくなってしまったわけで。そのルールの中で遊ぶ、という高度な楽しみもあるのですが、少しくらい外しても許してよね?と、いい歳ながら着やすい好きな着物にショルダーバックをかけてパタパタ早歩きで歩いている私です。

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